2016年07月29日

乳がんLIFE Vol.1
乳がん術後のバストケア~下着編~

キーワード:ライフスタイル
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 "乳がんLIFE"では、乳がん治療に伴って必要になる身のまわりのケアについてお伝えしていきます。

 今回は、「乳がんと下着」がテーマ。乳がん治療中や術後のブラジャー選びのポイントを取材しました。アドバイスをくれたのは、乳がん専用下着専門店「KEA工房」の原島亜奈さんです。

なぜ専用ブラジャーが必要なの?

 乳がんにはさまざまな治療法がありますが、どんな治療にも多少の副作用や心身への影響があります。治療中も、術後も快適な日常を送れるようにするためには「下着(特にブラジャー)を上手に選ぶこと」がとても大事だそうです。

 例えば、乳房の一部または全部を摘出した場合、見た目にも、実感としても、左右のバランスが大きく変わります。姿勢や骨などにも以下のような影響が出てきます。

・ 手術をした側をかばうことや、左右の胸の重さのバランスが変わって肩の高さが変わるなどにより、姿勢が悪くなる

・ 肩こりや腰痛を起こしやすくなる

・ 乳房は肋骨などを防御するクッションの代わりにもなっているため、術後はものがあたって痛かったり、部分的に寒さを感じやすくなる人も

 また、抗がん剤や放射線の治療中には、肌がとてもデリケートになります。そのため、肌への負担が少ないやわらかい素材のブラジャーの着用が勧められる場合があります。

 こうした理由から、専用ブラやパッドによるバストケアが勧められています。

専用ブラやパッドの役目とは?

主な機能としては

1. ボリューム(見た目の大きさ)を整える 
2. 重さのバランスを整える
3. クッションの役割・摩擦からの保護
4. 保温(冷えから守る)
5. 術後の傷を隠す

などが挙げられます。

 ここには、さらに「快適さUP」や「おしゃれの楽しみ」も加わるのかなと思います。

 「中には、休暇中に手術を受けられる方もいらっしゃって、人に知られたくないからと、胸のシルエットを気にされる方もいます。そうした場合にも、専用下着やパッドが役に立ちます」(KEA工房・原島亜奈さん)

理想のブラジャー選び、大事なポイントは?

さて、ここからは具体的なインナー選びについてです。

「まず、【1】術前・術直後と【2】術後経過が落ち着いてからでは、選ぶ下着が変わってきます。加えて、放射線治療、温存治療など術式によって必要なものをそろえられるとよいと思います」(KEA工房・原島亜奈さん)

【1】手術直後、通院時、化学療法中などに適したブラ

 着脱が楽な「前開き」のホスピタブルブラと軽量のパッドを用意しましょう。

 価格はどちらも3000〜4000円台ぐらいで手に入ります。

選ぶポイント

1. 前開き、マジックテープ式が楽です
2. 肌への負担が少ない柔らかい素材
3. 補整パッドが入れられるポケット付き
4. 縫い目が肌側にないもの(縫い目が外、または表側になっている)
5. 手術直後の方は体に負担がかからないよう軽量のパッド(別売り)を選びます


ゆったりサイズ&前開きで着脱が楽です。

 


縫い目、タグを外側に。肌を刺激しない工夫がされています。

 


服を選ばない襟グリが深めのタイプ。マジックテープ式。
こちらは退院後からの使用がお勧めだそう。補整用ブラとしても使えます。


ホスピタブル用パッド(別売り)を入れると、シルエットがキレイです。

 


パッドは胸や術痕の保護に。
術痕が落ち着くまでは軽めのものを選びます。

【2】手術から数ヶ月後、経過が落ち着いた方

 患部が落ち着いて痛みや腫れがなくなってきたら、補整用ブラジャーと多少重さのあるパッドに切り替えます。ソフトに支えたい場合、しっかり支えたい場合(乳房再建後など)で、選ぶブラジャーも変わってきます。

 専用下着を扱うショップなどでじっくり、試着・相談してみるのも手です。

安定感のあるブラ&パッドを選ぶポイント

1. 肩ひもや脇部分が幅広のタイプ
2. しっかりとバストを包むフルカップ
3. 傷に当たらない、手術痕にやさしいノンワイヤー
4. ある程度重みのあるパッドでバランスを調節(術式による)

 この段階まで来たら、デザインもいろいろ選べるようになります。


KEA工房銀座サロンにて

 「胸元がレースのキャミソール型なら、かがんだ時などにちらっと見えても安心です。術痕を隠しやすいという利点もありますね」(KEA工房・原島亜奈さん)

【3】術識別インナー/放射線治療中〜術創が落ち着くまで

 照射中は肌が傷みやすいので、乳房と衣服が擦れないように、ある程度保持力のあるブラジャーを用意します。

 最近は、治療中のヒリヒリ感が気になる人向けに、患部を冷やす保冷剤でできたパッドも用意されています。乳がん用の下着も進化しているんですね。


右がクールパッド。冷凍庫で冷やして使います。
※冷凍庫に入れても固まらないジェルです。
写真のブラは現在、販売していません

【4】入浴着は温泉旅行で活躍

「がん術後の方の専用入浴着があり、全国の温泉、温浴施設で着用が認められています。最近は、ピンクリボンのお宿ネットワークができたりして環境整備が進み、乳がんの方が温泉をより気軽に楽しめるようになってきています」(KEA工房・原島亜奈さん)



着たまま温泉に入れます!

専用ブラジャーやパッドをどこで買う?

 病院の売店やネット通販、乳がん専用下着のショップやサロンで購入することができます。専門店のサロンでなら、プライベートな空間でじっくりと相談&お買い物ができそうです。

 大手下着メーカーからも、乳がんの患者さん用の下着が多数出ていますし、手持ちのブラジャーの加工サービスを行っているショップもあります。

 そのほか、病院で乳がんの患者さん向けに専用下着の説明会が行われることもあったり、医師から下着の指定やアドバイスを受ける場合もあるようです(乳房再建術後の補整下着など)。

 手術前などは、入院準備で忙しかったり、気持ちの整理がつかなかったりして、「下着のことまで考えられない」という患者さんもいらっしゃるかもしれませんね。ただ、治療中も治療後もより快適に過ごすため、また健康な姿勢を保つためにも、下着選びは重要。心や体がつらいときは、同性の友人や家族に情報を集めてもらったり、購入の際に付き添ってもらったりするのも一つの方法かもしれません。自分にとって快適で、気持ちが上がるブラジャーを選びたいですね。


■取材協力/KEA工房
乳がん・子宮がん・卵巣がんなど、がんを体験した女性の術後下着の専門店。乳がん専用ブラジャーやパッド、術後のむくみをケアする弾性ストッキングなどを扱っています。銀座、横浜、大宮、仙台にサロンがあり、相談・試着OK。サロンでは、術後ケアの講習会やリハビリヨガ教室なども開催されています。オンラインショップもあり。


銀座サロン

■取材・文/及川夕子
メノポーズカウンセラーや健康食品コーディネーターの資格を生かし、美容・健康・医療分野を中心に、新聞、雑誌、WEBメディアなどで取材・執筆を行っている。書籍の企画や編集、執筆も手掛ける。
(日本医療・健康情報研究所)

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