2016年06月22日

世界的な景気後退とがん死亡増加 失業率の上昇と公的医療保険の削減で

キーワード:医療費・制度
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 2008~2010年の世界経済危機が、がん死亡者数の急増と関連していたことが、新しい研究で示された。

 70カ国以上、合計で20億人以上を対象とした今回の研究によると、失業率の上昇と公的医療費の削減が、2010年までにがん関連の超過死亡が26万人を上回っていたことと関連していることがわかった。この超過死亡のうち16万人は欧州で生じていたという。

 この知見は「The Lancet」オンライン版に5月25日掲載された。

 論文の筆頭著者である英インペリアル・カレッジ・ロンドンのMahiben Maruthappu氏は、「がんは世界的にも主要な死因であるため、経済的な変化ががん生存に及ぼす影響を知ることは重要だ」と述べている。

 この研究では、失業率の上昇に伴ってがん死亡が増加するが、国民皆医療保険制度のもとでは、失業とがん死亡増加との関連はみられないことも判明した。これはとくに乳がん、前立腺がん、大腸がんなどの一般的に治療が可能とされるがんの場合に顕著だった。

 今回の研究はこれらの因果関係を証明したものではないが、同氏は「公的医療費はがん死亡と強く関連しており、医療費の削減は生命の犠牲を増やすことにつながる可能性を示唆している。医療費の削減が必要ならば、同等レベルの治療を維持できるよう、医療の効率を改善する必要がある」と述べている。

 共著者の1人である米ハーバード大学のRifat Atun氏は、「国民皆保険制度がない国では、仕事に就いていれば医療を受けやすい環境が得られることが多いが、失業すれば診断や治療の開始が遅れ、治療の質の低下にもつながる」と説明している。

 また、付随論説の著者らは、この知見は、国民皆保険制度により既にあるエビデンスに基づく医療や予防戦略が実行されることで、がんによる死亡者数が減らせることを示すエビデンスのひとつだとしている。 

記事原文 [2016年5月26日/HealthDay News]

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(参考情報)
論文アブストラクト

(日本医療・健康情報研究所)

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