2016年05月10日

女優アンジェリーナ・ジョリーさんの乳房切除で注目  遺伝性乳がんとは?

キーワード:治療
  • twitterでつぶやく
  • 乳がん治療と乳房再建の情報ファイル

 2013年、米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんがニューヨーク・タイムズ紙に寄せた「遺伝子検査を受けた結果、乳がん予防のために両乳房の切除手術を行った」という告白により、遺伝性乳がんへの関心が世界で高まりました。

 遺伝性の乳がんとは、がんの発症に特定の遺伝子の変異が関わっている乳がんで、全体の5〜10%程度と考えられています。

乳がんと遺伝の関係

 乳がんは、普段の生活習慣といった環境要因と遺伝要因が複雑に関与して発症するものと考えられていることが多いですが、遺伝的に乳がんを発症しやすい「遺伝性乳がん」の方もいます。

これまでの研究で、BRCA1もしくはBRCA2と呼ばれる遺伝子のどちらかに変異が見られると、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質であることがわかっています。また、BRCA1もしくはBRCA2遺伝子に変異があると、乳がんだけではなく卵巣がんも発症しやすく、こうした遺伝子変異から発症するある乳がんや卵巣がんは「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれています。

 遺伝性乳がんの原因の変異遺伝子は、親から子へ、性別は関係なく2分の1の確率で伝わるので、必ずしも祖母や母親が遺伝性乳がんだからといって子ども全員が乳がんや卵巣がんを発症するわけではありません。

遺伝カウンセリングだけなら保険診療で受診可能

 米国では、アンジェリーナ・ジョリーさんのように遺伝子検査の結果を受けて、乳房の全摘手術と乳房再建を行うケースが増えています。 (関連ニュース:若年乳がん患者で遺伝子検査の実施率が上昇

遺伝性の乳がんにはいくつかの特徴があります。

遺伝性乳がんの特徴例

  • 40歳未満の若い年齢において乳がんを発症する(若年性乳がん)
  • 複数の部位に乳がん、卵巣がんを発症する
  • 家系内(祖母、母、姉妹、おば、姪、孫)に複数の乳がん、卵巣がん患者

 現在、日本では健康な乳房を切除することについて統一された指針はなく、乳がん発症の予防を目的とする健康な乳房の切除と乳房再建は保険適用とはなっていませんが、遺伝性乳がん・卵巣がんについて相談できる病院は全国的に増えていますので、医師、看護師、遺伝カウンセラーなどが対応する「遺伝カウンセリング」を受けることが可能です。また、カウンセリングの結果、ハイリスクと考えられる場合には、がんの早期発見や予防についての情報提供や、遺伝子検査も希望があれば受けることができます。

 遺伝子検査は保険適用がなく、高額の費用がかかりますが、遺伝カウンセリングだけであれば通常の保険診療で受けることができるので、もし心配がある場合はカウンセリングを受けて専門家に相談をしましょう。その際、「がんの家族歴」(ご家族が何歳ごろ、どんながんにかかったかなど)の情報など、事前に調べておくこともありますのでまずは専門機関に問合せが必要です。

参考:
がん情報サービス 遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)(特定非営利活動法人日本 HBOC コンソーシアム 広報委員会)

関連:
遺伝相談外来のご案内(国立がん研究センター 中央病院)

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

関連ニュース・トピックス

ニュース・キーワード

ニュース・トピックス
イベント・セミナー情報
01月21日(火) 千葉県
患者さん・一般の方向け
国立がん研究センター東病院 柏の葉料理教室 第246回「味覚変化がある方の食事」
01月22日(水) 三重県
患者さん・一般の方向け
三重大雅楽医学部付属病院 はりきゅう教室 テーマ『冷え性』
01月22日(水) 愛媛県
患者さん・一般の方向け
四国がんセンター 2019年度 がんと心 ストレスマネジメント ~からだとこころを整える~
01月22日(水) 愛媛県
患者さん・一般の方向け
四国がんセンター 2019年度 がんと外見  アピアランスケアセミナー 外見変化への対処法
01月23日(木) 東京都
患者さん・一般の方向け
徳洲会乳がん第23回勉強会「ダイエットと高齢化に対しての栄養」
オピニオン
働く女性と乳がん -がん治療と乳房再建のいま-
辻 直子(セルポートクリニック横浜医師、杏林大学形成外科非常勤講師 )
がんと就労~本人と職場を支える産業看護職のより良い支援とは~
錦戸 典子(東海大学大学院健康科学研究科)
病気になっても仕事を続けるための支援
荒木 葉子(荒木労働衛生コンサルタント事務所)
乳がんとともに生きる人を理解する
青木 美保(帝京大学医学部附属病院 帝京がんセンター 認定遺伝カウンセラー)
キチンと手術・ホンネで再建(KSHS)~乳がんぶっちゃけ話~
溝口 綾子(一般社団法人KSHS 代表 )
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のいまとこれから
中村 清吾(昭和大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門教授、 昭和大学病院ブレストセンター長)
がん治療を楽にする口腔ケア
百合草 健圭志(静岡県立がんセンター 歯科口腔外科部長)
「がんと就労」広がる病院内での就労相談
近藤明美 (近藤社会保険労務士事務所)
がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~
横山 淳子(パナソニック健康保険組合 保健師 )
トップページ 治療と乳房再建の基礎知識 乳がんと診断されたら 乳がんの治療について 乳房再建について 治療と仕事 医療費・制度 乳がん患者会 全国マップ ニュース・トピックス イベント・セミナー情報 オピニオン アンケート 調査・統計 このサイトについて お問い合わせ