2015年06月10日

血液1滴でがんを早期発見 10種類以上のがんを1回の採血で診断

キーワード:治療
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1滴の血液から何種類ものがんを早期発見できる――そんな時代が訪れるかもしれない。「1回の採血で10種類以上のがんを早期発見する技術」を開発するプロジェクトが進行中だ。

1滴の血液で乳がんと大腸がんを早期診断 今夏に研究開始

 国立がん研究センターは、同センターの中央病院に「遺伝子診療部門」を開設し、がん診療に網羅的な遺伝子診断にもとづく診療を本格的に導入する準備を整えたと発表した。
 「遺伝子診療」は大きく分けて、遺伝的にがんになりやすい人への「個別化予防」と、個々のがん患者の遺伝子異常にもとづく「個別化治療」がある。

 進行中のプロジェクトとは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が国立がん研究センターや東レ、東芝など20機関以上と共同で実施している「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」だ。

がんを克服するために、早期発見が重要だ。プロジェクトでは、がん細胞が分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目。13種類のがんなどに特徴的なマイクロRNAを組み合わせることで、従来の診断方法では見逃されていたがんを早期発見し、がんの種類も特定できるようにする技術を開発している。

 2015年夏に乳がんと大腸がんの早期診断の試みを開始し、2018年度末までに完成させることを目指している。

 新しい診断法は、従来とまったく異なる原理にもとづいている。がん組織は「エクソソーム」という直径1万分の1~以下の小胞を血液などに出しており、中にそれぞれ特有のマイクロRNAを含んでいる。

 エクソソームは、細胞と細胞の間で情報を伝える働きをし、がん細胞の周囲にある正常な細胞と相互に影響し合い、がんの進行に大きく関係している。

 エクソソーム中のマイクロRNAは18~25塩基ほどの小さなRNA。がん特有のマイクロRNAは、がんの転移や病態変化などに関与しており、新しい疾病マーカーとして有望視されている。

 国立がん研究センターが患者の同意を得て収集した7万検体という膨大な血液試料から特異的なマイクロRNAを探し出し、マイクロRNAデータベースを構築することを計画している。

 現状で解析がもっとも先行しているのは乳がんだ。1,000例以上を解析済みで、マイクロRNAとの関係がかなり明確に分かってきた。マイクロRNAを利用して99%以上の感度と特異度で乳がんを診断でき、直径3mmの乳がんも診断できるという。

 世界中で研究が進められているが、患者の膨大な血液試料と照合して、実用的ながんマーカーを探すのはこのプロジェクトが世界ではじめてとなる。

 「マイクロRNAは今までにないがんマーカーで、感度と特異性が高い。できる限り早く使えるようにしたい。がんのマイクロRNAは人種を超えて共通なので、プロジェクトの成果は世界に発信できる」と、プロジェクトの研究開発責任者を務める国立がん研究センター研究所分子標的研究グループ分子細胞治療研究分野長の落谷孝広氏は話している。

体液中マイクロRNA測定技術基盤開発(新エネルギー・産業技術総合開発機構 2015年3月31日)

(日本医療・健康情報研究所)

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